メタプラネット(3350)の投資評価

最新決算(業績推移)

  • 2023年12月期(通期):売上高約26億円、営業損失約▲41億円、純損失約▲68億円(前期は売上10.2億、営業損失40.3億、純損失69.6億)。
  • 2024年12月期(通期):売上高約106億円、営業利益約599億円、純利益約444億円と急反転(前期比で売上+大幅、純利益▲68.0億→+44.4億に転換)。これは主に保有ビットコイン売却益によるものである。
  • 2025年12月期(会社予想):売上高約340億円(前年比+220.1%)、営業利益約250億円(同+614.3%)の大幅増予想。会社は引き続きビットコイントレジャリー事業を拡充し、業績改善を見込んでいる。
  • 2025年1-3月期(第1四半期):売上高8.77億円(前年同期0.84億、+943.9%)、営業利益5.92億円(前年同期▲0.50億→黒字転換)。一方、ビットコイン価格の一時急落で74.13億円の評価損を計上し、経常損失68.52億円、純損失50.46億円となった。第1四半期末の総資産は550.23億円、純資産504.36億円となり、自己資本比率は91.6%まで上昇している。
決算期売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)純利益(百万円)
2023年12月期2,600-4,100-4,100-6,800
2024年12月期10,60059,90059,90044,400
2025年12月期(予)34,00025,000

(百万円単位。資料:)

財務指標

  • 自己資本比率:2024年12月期末で約55.9%だったが、2025年1Qで約91.6%に上昇。主要要因はビットコイン保有増加に伴う資産増加と、新株予約権の行使による資本金増加。
  • 収益性指標:直近の巨額赤字によりROE/ROAはマイナス圏にあるが、過去の実績(2024年決算)を見るとROE約49%、ROA約28%と高水準を記録している。これは一過性の売却益の影響であり、持続性は不透明。
  • 株価指標:2025年8月4日時点の株価(PTS含む)は約987円で、時価総額は約6,462億円。PERは赤字のため算出不能。PBRは約12.8倍(Kabutanによる値)、また別資料ではPBR約9.0倍とされている。1株あたり利益(希薄化後EPS)は2025年1Qで▲12.35円となっている。

事業内容・セグメント構成

  • ビットコイントレジャリー事業:同社の主要事業で、ビットコインを「戦略的準備資産」として取得・保有し、運用益(売買差益、オプション取引など)を追求する。2025年1Qではこのセグメントで売上高約772.85百万円、セグメント利益約696.69百万円を計上し、連結売上高の約88%(772.85/877.24百万円)を占めた。
  • ホテル事業:かつてバジェットホテル運営が主力だったが、2023年末までに東京都内の「Hotel Royal Oak五反田」1店以外は売却・撤退。現在は残存ホテルの運営と再開発を行うが、売上高は2025年1Qで約104.39百万円、セグメント利益約43.93百万円と全体の12%強にとどまる。レッド・プラネット・ジャパン社の破産手続申立て(2024年5月)があり、ホテル事業収益は縮小傾向にある。
  • その他(Web3関連):2024年末までに撤退し、2025年1Qからセグメント区分から除外された。

以上のように、同社はホテル事業からビットコイン投資会社へ大転換しており、主力セグメントはビットコイン保有・運用に移っている。

2024年以降の業績予想・ガイダンス

2025年5月発表の2025年12月期第1四半期決算短信には、通期予想として売上高340億円、営業利益250億円を公表している。会社は、ビットコイン投資拡大に伴う収益増大とホテル事業安定化を見込み、これらの数字を据え置いている。2024年12月期決算発表時点での修正予想はなく、引き続き急拡大路線を予想している。

仮想通貨保有状況と意義

メタプラネットは自社の財務資産としてビットコインを大量保有しており、2025年8月時点で総保有量は17,595 BTCに達している。取得原価は累計約2,612.77億円で平均取得単価約1,484.95万円/BTCとなっている。コインポスト記事によれば、同社は「2026年末までに10万BTC、2027年末までに21万BTCを目指す『555ミリオン計画』」を掲げており、社債や新株予約権発行などで最大約5550億円の資金調達を行いながら積極購入を続けている。これにより、上場企業のビットコイン保有ランキングでは世界7位に位置し、ビットコインを財務資産とする企業として注目されている。

ビットコイン保有の意義として、マクロ的には「デジタルゴールド」として価値保存・運用益追求の資産多様化効果が期待されているが、一方で価格変動リスクも高い。メタプラネットは投資家にビットコイン市場へのアクセス手段を提供する「BTC関連株」の側面も強く、暗号資産市場の動向が業績・株価に直結する特徴がある。

株価推移・時価総額・急騰要因

  • 株価推移:メタプラネット株は2023年初頭に数十円で推移していたが、2024年4月にビットコイン購入計画を発表して以降上昇を開始した。その後、2025年2月に高値約684円(株式分割前基準)、2025年6月には約1,544円(分割後)と史上最高値を更新し、直近ではビットコイン価格下落に伴い1,000円台前半で推移している。2025年8月4日時点の終値は約987円で、発行済株数約6.547億株から計算した時価総額は約6,462億円に達する。
  • 急騰要因:株価上昇の主因は、ビットコインの大量取得と「ビットコイン財務会社」への戦略転換への期待である。特にビットコイン相場が好調な2024年後半~2025年上半にかけて、同社の保有BTC増加や含み益拡大が強く意識された。また、株式分割(2025年4月1日付で1→10株)や米国の大手運用機関(フィデリティ)の投資家参加なども、株価上昇の後押しになったとされる。SNSや投資掲示板では「ビットコイン関連銘柄」として注目を集め、投機的資金が流入したことも一因とみられる。

話題性(SNS・メディア注目度)

メタプラネット株は「日本発のBTC投資企業」として近年注目を浴び、特に仮想通貨投資家の間で話題となっている。暗号資産関連メディア(CoinDesk Japanなど)でも頻繁に報じられ、コイン価格と株価の連動性や社の戦略が解説されている。投資コミュニティでは、同社株を保有することはビットコイン価格上昇を享受する手段と見なされる一方、株価が短期間で数十倍に上昇したことを「急騰事例」として議論する動きもある(証券板等)。ダイヤモンド社コラムでも「ビットコイン保有企業が少ないため注目を集めやすい」「株価はビットコインと連動しやすい」と指摘されており、ビットコイン相場の動向がSNSやメディアの注目度を大きく左右している。

株主構成・浮動株

2025年7月の発表によれば、米フィデリティ傘下のNational Financial Services LLC(NFS)が基準日6月30日付で筆頭株主となり、議決権比率12.90%(84,405,418株)を保有した。2025年3月末時点では0.42%だった保有比率が、直近3ヶ月で急増した形である。同社長は「株主構成も進化している」と述べており、米国大手機関投資家が主要株主に加わった。なお、発行済株式数は約6.5億株に拡大しており、流動株比率も高いと推測される。かつて筆頭株主であったEV O FUND LLC(ドナルド・トランプ氏関連会社)は現在保有比率を大幅に縮小している。

リスク要因

  • ビットコイン価格変動リスク:事業のほぼ全てをビットコイントレジャリーに依存しており、保有BTCの評価額は暗号資産相場に直結する。ビットコイン価格下落時には保有資産の評価損が発生し、株価も急落する懸念がある。実際、2025年2月以降ビットコイン相場が落ち着くと同社株価も下振れている。ダイヤモンド社は今後の株価動向について「ビットコイン市場の動向に大きく左右される」と指摘している。
  • 財務調達・信用リスク:積極的なビットコイン取得のために社債発行や新株予約権行使による資金調達を繰り返している。借入返済や社債償還が計画より先行しており(2025年1Qまでに7億円償還)、追加資金の確保が必須である。万一市場環境の悪化で調達コストが上昇したり、資金確保が困難になった場合、ビットコイン購入計画の遂行や財務健全性に支障を来すリスクがある。自己資本比率は高いが、これは評価益を含んだ数値であり、急落局面では一転して低下する可能性がある。
  • 事業依存・継続性リスク:ホテル事業はほぼ終了し、収益基盤はビットコイン関連に集中している。そのため新規需要創出や収益多様化の余地は限られており、ビットコインビジネス自体の競争激化や規制強化など外部環境変化にも弱い。また、2024年末時点では上場維持基準への適合計画を策定していた経緯もあり、業績の不安定さには留意が必要である。
  • 価格・需給リスク:株価が急騰した結果、浮動株の需給が逼迫する場面もみられた。需給悪化はボラティリティを助長し、急落時の下押し要因となりうる。実際、信用倍率が極めて高まっている(掲示板で「追証対策」の声も出ている)状況を鑑みると、大口ポジション解消による乱高下リスクも存在する。
  • その他リスク:暗号資産関連事業には規制リスクも伴うほか、新興企業ならではの運営リスク(幹部人事の変化など)もある。現在は利益を再投資に充当し配当実績はないため、株主還元策への言及もない。全体として、「ビットコイン長期保有」という経営戦略が実現するかどうか、外部環境や市場の動向に大きく依存している点は注意が必要である。

以上のように、メタプラネットは急成長するビットコイン投資企業である一方、ビットコイン価格に大きく依存するハイリスク・ハイリターン型の事業モデルである。投資家はビットコイン市場動向と同社の資金調達力、事業の持続可能性を総合的に勘案する必要がある。

参考資料: メタプラネット決算短信・開示情報、Yahoo!ファイナンス・Kabutan等。

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